<R.O.R ㉜>料理研究家【塩田 ノアさん】有機人参のBœuf aux carottes
”あの人”に教えてもらうレシピのリレー Relay of the recipes. Vol.32
第32回目は、(社)MIIKU日本味育協会代表 宮川順子さんからご紹介を頂きました、料理研究家の塩田ノアさんです!
塩田 ノアさんプロフィール
■料理研究家
大学卒業後は、10年間銀行に勤務。
退社後、料理家のお母様のアシスタントを経て、本場イタリアにて、主に家庭の主婦から地元の料理を学ぶ。
1995年帰国。TV、講演・講師、自宅での料理教室、多くの書籍・雑誌等、幅広くご活躍。
2004年より、ご主人の転勤に伴いパリに移住。
『〈料理を作る〉ことは、料理の先にある〈豊かな暮らし方〉を探すこと』
料理を作るだけでなく、テーブル周りの小物、テーブルクロスやエプロンなども手作りする。刺繍やカルトナージュが趣味。
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塩田ノア先生は、昨年末にもNHKあさイチの「みんな!ゴハンだよ」のコーナーで『ゆずバター香る さけのつくね鍋』をご紹介されていたので、ご存知の方・ご覧になった方も多くいらっしゃると思います。
「ノア」というお名前は、「地球が滅びそうな時も頑張って生き延びるように」と、お父様が名付けられたそうです。生まれた時からグローバル!なノア先生。
東京・パリを行き来すること16年!
ちょうど帰国されていたタイミングで、宮川先生からのお声がけで、今回ご登場いただけることとなりました~!
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宮川 順子さんからひと言
~食にまつわるお仕事に携わる ”あの人!” たちに、おすすめの旬の野菜の食べ方を教えていただきます。~
<オーガニックファーム綾>の畑で採れた、固定種の有機人参を使った「フランスの家庭料理」とリクエストさせていただいたところ『有機人参のBœuf aux carottes(ブッフ オ キャッロト)』を教えてくださいました!
まさに、宮川先生のおっしゃる「奇をてらわない本物のマダムの一皿」です!
作っている途中から、ただならぬいい匂いに包まれ、思わず、食いしん坊の長男を鍋際(こんな言葉ありましたっけ?)に呼び
「コレが本物の、フランス人のお母さんが作る、フランス料理の匂いだよ」と、立ち昇ってくる匂いを、二人並んで、思い切り鼻から吸い込むのでした。
目の覚めるような、素晴らしく本格的な、真っ直ぐに美味しい一皿でした。
牛肉の仕事によって、人参が、人参こそが美味しいのです!
このお料理は、「美味しい人参でなければ成り立たないな」と思うほどに、人参自体が試されるといいましょうか。スポットライトを向けられてるのは人参なのです。
Bœuf aux carottesとは、「牛肉と人参」という意味にも納得です。
この料理以外にも、「牛肉と人参のゼリー寄せ」もフランスでは定番だそうです、人参と牛肉は相性が良いのですね。
一見、敷居の高そうなお料理に見えますが、少ない材料と、コツのちりばめられた手順で、シンプル、簡単なレシピになっています。
味わった後の満足感に深く満たされる、フランスの代表的な人参の煮込み料理のご紹介です。
ハレの日にも、おもてなしにも。彼の胃袋を掴む必殺の一皿にも!
~人参って、こんなに美味しかったかしら?!
◎お皿も素敵!フランスの蚤の市で購入した20世紀初期のジアンだそうです。
材料 (4人分)
・牛カレー用(3センチ角程度)500g
・玉ねぎ (小1個) 150g
・人参 (小さめ3本) 400g
・ニンニク半かけ (つぶす)
・塩胡椒 適量
・薄力粉 大さじ1
・トマトペースト 大さじ1
(またはトマトピュレー 大さじ2)
・顆粒コンソメ 小さじ1
・ローリエ 1枚
・白ワイン 50ml
・バター(サラダオイル) 大さじ1.5
有機人参のBœuf aux carottes(ブッフ オ キャッロト)の作り方
1.牛肉に塩胡椒して、薄力粉をまぶす。人参は皮をむいて、長さ4センチ程度の棒状に切る。(太いところは縦に1/4、細いところは半分にする程度。長さは人参の長さに合わせて調節)、玉ねぎは3センチ角程度に切る。
2.厚手の鍋にバターまたはサラダオイルを熱して、牛肉を炒める。最初の面に少し焦げ目がつきかけたところで、全体を返して、ニンニクを加える。ふたをしながらじっくりと炒める。しばらくすると肉から水分が出る。その水分がまた蒸発して、艶々した感じに煮詰まったところで、玉ねぎを加えて、2,3分炒める。。
3.トマトペーストを加えて、全体を混ぜ、白ワインをそそぐ。ひと煮立ちしたところで、水1カップ、コンソメ、ローリエを加えて、ふたをした状態で15~20分煮込む。すね肉を使用した場合は30~40分必要。
4.人参を加えて、人参が柔らかくなったところで、味を調える。
☆鍋の厚さ、肉による煮込み時間により、水気が足りない場合は適宜足しますが、最終的に水気が少なめの煮込みを目指します。
ルーなどでつなぎがないので、さらりとしつつも味はしっかりとしたソースになるのが理想。
本来は、大きめのかたまり肉で作りますが、短時間で仕上げるために、シチュー用の角切りを使用しました。パンでもご飯でも合う、フレンチなお袋の味です。
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Point!
・トマトペーストは、フランスでは煮込み料理のコク出しとして、少量を加えることが多いです。トマト風味の煮込みではありません。
わたくしはイタリア製を使うことが多いですが、カゴメの使い切りならサイズもとても便利です。
・ローリエは市販品は香りが強いので1枚、生なら2枚は必要です。人参が主役ですから、スパイス・ハーブなどは控えめに。
Vege8<オーガニックファーム綾>の野菜について
パリで有機野菜は、スーパーでも市場でも当たり前のように売っています。日本でも今後、もっと身近になって欲しいと思います。
わたくしはパリでは近郊の農家が作る野菜(有機認定を受けてなくても、自然においしく作られている有名シェフ達も御用達)と有機野菜をたっぷりと食べています。
東京でしばらく過ごすと、特別なフレンチの美食より、美味しい野菜が恋しくなるのです。なるべく東京近郊栽培の野菜を選ぶか、味に満足がいかないと、地方の有機野菜を取り寄せています。ただし、運送で化石燃料~ガソリンを多く使うことが気になります。
普段から、少しでも地球環境を考えて、脱プラスティックとまではいかなくても、ラップの使用量を減らしたくて蜜蝋ラップも手づくりし始めました。気に入った布で、手づくりは楽しいし、蜜蝋の効果で野菜が長持ちする気がします。
有機栽培も地球環境を考えると、もっと広がってほしいですが、生産者さんのご苦労も増大しますね。せめて、見合った価格で取引されるように、消費者として「安かろう…」ではない、姿勢を持ちたいです。
その分、無駄なく大切に野菜を使い回していく工夫も必要ですね。
今回の人参は、糖度が高いと伺っていましたが、それより箱を開けたときから香りが高いのが感じられて。素晴らしい。
香味野菜を多用する割に、日本の野菜は個性が弱い、というか香りに乏しく感じます。人参でもむかしは子供達が「臭いからニンジンは嫌い」などと言いましたね。けれども、子供の好き嫌いをなくすには、癖の少ない無個性な品種開発をするのではなく、子供の味覚を育てる方が大切でしょう。
すべての野菜は、それぞれの香りを持つこと、料理法がシンプルでも素材の個性で、様々な味が生まれることを学んで頂きたいです。
今回の料理も、人参の個性がパリの野菜と同じように、昔ながらの家庭料理に仕上げてくれ、パンでもご飯でもおいしく食べていただけると信じています。
塩田 ノアさんの本
時短のフランス料理!?美味・簡単・バランスGOOD!
朝日新聞に連載されたコラムをまとめた1冊。愛情深いご家族の微笑ましい日常の中にある、3人それぞれの一皿一皿。
エンゲル係数と文化度の高いご家庭で育ったノア先生は、小学校5年生当時、お雛さまの五目ずしを5時間かけて一人で作られたそうです(涙)。
今年の春は、あさりと人参を使った「ノアのひなずし」に決まりだなー!
編集後記:レシピ担当Yuki
レッスン情報
◎ノア先生からのご紹介
「ノア流」アトリエ料理教室を東京滞在時に開催。
場所は、昭和感一杯の東京世田谷の自宅キッチンです。
お友達グループで、というのは習った料理は復習してこそ、
現在のところ、手打ちパスタを中心に前菜、メイン、
詳細・最新情報は、Facebookペ
※「”あの人”に教えてもらうレシピのリレー」は、これまでたくさんの素敵な方々にお力添えをいただき、32回目を迎えることができました。奇跡のように巡り巡る、もったいないほどのご縁に、心からの感謝を申し上げます。
⇒これまでに「”あの人”に教えてもらうレシピのリレー」に参加してくださった皆さん。
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